解決事例

2026.09.07

  • 広告・メディア
  • 紛争対応

休職中立替金の給与控除と安全な回収スケジュールの策定

業種
広告・メディア広告・メディア
相談分野
紛争対応紛争対応
顧問契約
スタンダード
  • 会社立替金
  • 賃金全額払いの原則
  • 相殺制限(4分の1控除ルール)

相談内容

顧問先である情報通信・マスコミ事業者様からのご相談です。諸事情により懲戒休職中であった従業員について、休職期間中は給与が支給されなかったため、その間に発生した社会保険料や住民税を会社が一時的に立て替えました。復職後、事業者様は立て替えた金員(約33万円)の返還を求めましたが、当該従業員が別の法的紛争を抱えていたこともあり、「裁判の結果に基づいて対応する」などと主張して任意の支払いや話し合いに応じない状況でした。他の従業員との公平性を保ち、内部統制上も確実に回収を進めるため、給与からの控除や督促の法的可否、および具体的な実務手順についてご相談をいただきました。

解決結果

規程と判例基準に基づく精緻な回収シミュレーションを行い、新たな紛争を回避しながら確実な全額回収を実現

係争中の従業員との不要な対立や摩擦を避けるため、別途の返還訴訟を提起する強硬策ではなく、労使協定に基づく給与および賞与からの控除(相殺)を粛々と実行する実務アプローチを助言しました。その際、労働基準法の全額払い原則をクリアしつつ、民事執行法上の差押禁止規定(手取り賃金額の4分の1までしか控除できないとする制限)に抵触しないよう、毎月の給与と直近の賞与から段階的に控除する安全な清算スケジュールを設計・提示。結果として、法的に安全な範囲を遵守しながら、未回収の立替金を実務上最も低リスクかつ確実に回収する道筋を整えることができました。

事案のポイント

1.労使協定の活用による「給与控除」の法的根拠の確立

労働基準法24条1項(賃金全額払いの原則)をクリアするため、事業者様の就業規則や労働組合との間で締結されている労使協定(労働協約)の記載項目を精査しました。「会社立替金」が事前に控除対象項目として適法に定められていることを確認し、本人の承諾がなくても規程に基づき給与から直接控除ができる法的スキームを担保しました。

2.最高裁判例を基準とした「4分の1控除上限」の順守

適法な労使協定がある場合でも、従業員の生活安定を守るための民法や民事執行法上の制限(公租公課等を除外した賃金額の4分の1を超える相殺の禁止)に配慮する必要があります。最高裁等の判断基準に則り、1回の給与・賞与からの控除額が手取り額の4分の1を超えないよう緻密な計算を行い、数ヶ月に分散して回収する具体的な返済計画を立案しました。

3.紛争の拡大を防ぐ「合理的かつ実務的」な意思決定の支援

事業者様としては、支払いに非協力的な態度に対して、裁判や懲戒処分などの強い姿勢を検討したい心理もありましたが、これらは時間とコストを浪費し紛争を泥沼化させるリスクがあると分析。「法的に認められた範囲で、毎月の給与から粛々と天引きを行う」ことが最も実務コストがかからず確実であることを説明し、事業者様の合理的な経営判断をサポートしました。

弁護士コメント

弁護士法人 いかり法律事務所

休職中の社会保険料や税金の会社立替金は、復職後に回収トラブルや未払いとなりやすい典型例の一つです。
任意の支払いに応じない場合、給与からの控除が有効な手段となりますが、労働基準法や民事執行法における「控除制限(4分の1ルール)」を厳格に守らなければ、後に法的な違法性が指摘されるリスクがあります。事前に専門家へ実務上の清算スケジュールを相談しておくことで、不要な摩擦を避け、自社の権利を最も安全かつ確実に保護することができます。

  • プライバシー保護等のため、事案の細部を一部加工しています。
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