債権回収・売掛金回収
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債権回収・売掛金回収に精通した弁護士が解決します。
私たちいかり法律事務所では、債権回収・売掛金回収に精通した経験豊富な弁護士が、経営者の皆さんに最善の方法をご提案致します。
目次
素晴らしい商品・サービスを作っても、その代金を回収できて初めて事業として成立するといえます。もし、代金を回収できなければ、商品・サービスを無料で配っているのと変わりません。
様々な努力とアイデアで生み出した商品・サービスを事業として成立させるために、債権回収のポイントについてお伝えいたします。
まず、債権回収とは実際にどのような流れを辿っていくのか、その全体像を把握するために、債権回収のフローをお示しします。
初回無料相談
契約締結
与信管理
請求書・督促状・最後通告書の発送
公正証書の作成
財産調査
仮差押え
内容証明
裁判
執行
各フェーズにおいて、債権回収の観点からのポイントがありますので、それぞれ見ていきたいと思います。
債権回収とは売掛金等を回収する場面なのに、契約締結時点でポイントなんてあるの?と思われた方は要注意です。債権回収は契約締結の段階からすでに始まっています。
まず、契約を結ぶ相手が本当に信用できるかどうかを審査する必要があります。特に初回の取引は注意をしましょう。信用に足りるかどうかは、サービス内容、実績、経営基盤がしっかりしているか、経営者や担当者がコンプライアンス責任を果たそうとする姿勢があるかどうかなどから判断しましょう。
また、契約書をきちんと作成することも大事です。特に、債権回収の観点からいうと契約書において担保権の設定を検討すべきでしょう。担保には一般的には以下のものがあります。
相手との力関係や相手の信用性なども考慮しつつ、代表者を連帯保証人にとっておく、代表者の自宅に抵当権を設定しておく、売り渡した商品に譲渡担保権を設定しておくなどの方策を採るべきかを検討すべきです。
契約を結んだ後は、与信管理をする必要があります。支払いが遅れがちになってきた場合や、契約相手の経営が悪化したという噂を耳にした場合には、取引規模の縮小や取引の可否を検討する必要があります。
相手の弁護士から債務整理に関する受任通知書が届いた場合には、すでに支払能力が乏しいことが明らかなので、取引は中止しましょう。
また、相手が破産した場合には、相手が破産手続の申立てを行った裁判所から破産手続開始決定の通知や、債権調査票が送られてくることがあります。これらの書類が届いた場合には、すでに相手は支払不能の状態になり、破産手続を採っている状況です。
一般的に、取引の際には請求書は発行すると思いますが、相手からの支払がない場合にはこれを漫然と繰り返し発行するだけでは効果的な回収につながりませんので、次のようなタイトル・内容で本気の姿勢を示して、実効的な回収につなげてください。
相手の支払いが滞った場合に、どう対応すべきか悩まれることもあるかと思いますが、相手の支払いが滞った場合には、メールや電話だけではなく、書面で督促をすべきです。
そして、その書面のタイトルは「督促状」や「最後通告書」などといった履行を促すタイトルにしたうえで、「〇日までにお支払いがない場合には、弁護士に依頼し、法的措置を採らせて頂く所存ですのでご承知おきください。」などの文言を入れておくべきでしょう。こちらが本気で回収する姿勢を見せなければ、なかなか支払ってもらえないからです。
このタイミングくらいから弁護士に相談できるとより実効的な回収が可能になります。
また、最近では、LINEなどのSNSでしかやりとりがなく、請求書などを発送しようと思っても、相手の住所がわからないということもあると思います。
その場合には、ご自身が債権者であることを疎明して、住民票を取得することができます(住民基本台帳法第12条の3第2項)。この手続を利用して、相手の住所を特定して請求書等を発送しましょう。
ちなみに、疎明の手間などを考えると、弁護士に依頼をすることもあり得ます。弁護士は弁護士独自の権限(23条照会)でより柔軟かつ広範な調査が可能です。
では、相手が「払う」と言ってきた場合はどうすべきでしょうか。相手が「払う」と言っても安心してはいけません。残念ながら、口だけで支払わない人もいるからです。
相手が「払う」と言ってきた場合には、相手の支払への本気度を確認するためにも、公正証書の作成を試みるべきです。
公正証書とは、個人又は会社その他の法人からの嘱託により、公証人がその権限に基づいて作成する文書のことです。
具体的には、相手との間で合意書案を作成し、それを公証役場に提出した後、公証人がその合意書案を公正証書という書面にまとめます。その後、相手と一緒に公証役場に赴き、合意内容を公証人のもとで確認し、それぞれ押印して完成です。
公正証書を作成しておけば、費用や手間と時間のかかる裁判などをせずにいきなり強制執行ができます。つまり、相手が約束通りに支払わなかったときには預貯金口座の差押えなど強制執行をして、売掛金を回収することができます。そのため、相手が「払う」と言ってきた場合も油断せずに、公正証書まで作成しましょう。
相手に受任通知書(弁護士が依頼を受け、受任したことを相手に通知する書面)を送る前に、まず、財産調査を行う必要があります。最終的には、相手の財産を引き当てに強制的に売掛金や貸金を回収する必要がありますが、もし、先に受任通知書を相手に発送してしまうと、相手が強制執行を回避するために、自分の財産を隠すリスクがあるからです。
弁護士に依頼した場合、弁護士は弁護士会照会という制度を使って財産を調査します。
弁護士会照会とは、弁護士が所属弁護士会に申請し、弁護士会が官公庁や企業などに事実の問い合わせる照会のことをいいます。弁護士会照会の根拠条文は以下のとおりで、別名23条照会ともいわれます。
弁護士法23条の2「弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。」
弁護士会照会では、おおむね以下の事項について調査することができます。以下の事項は例示であり、これら以外にも調査できる事項は多く、調査範囲は広範にわたります。
このように弁護士会照会の調査範囲は広範にわたりますが、いくつか注意点があります。
まず、先ほど述べたとおり、弁護士会照会は「受任している事件」についてのみ申請することができますので、何らかの事件の依頼を受けたうえでなければ、弁護士会照会制度を利用することはできません。そのため、弁護士会照会だけの依頼ということはできません。
また、1件あたり7,000~8,000円(福岡弁護士会の場合)の費用がかかりますので、ある程度範囲を特定して照会をかけなければ費用がかさんでしまいます。そのため、順調に取引が継続している間に、契約相手にどのような財産がありそうかという目星を付けておいた方がよいと思います。
財産調査が完了したら、次に、仮差押えをすべきかどうかを検討します。
仮差押えとは、支払いを保全するために、債務者の財産の現状を維持し、将来の強制執行を確保する手続です。裁判で勝訴して、実際に強制執行をするまでの間に、相手が財産を勝手に処分したりしないように、「仮」に押さえておくという手続です。
また、この手続も財産調査と同様に、相手にバレないように秘密裏に行う必要がありますので、仮差押えをした後に、内容証明郵便で受任通知書を送るという手順を採ります。
売掛金や貸金を相手から強制的に回収するためには、裁判をして、判決などを取得する必要があります。裁判にはいくつかの種類があり、おおむね以下の4つが利用されることが多いです。
支払督促とは、裁判所において請求が認められる場合に、支払督促を買主・借主に送付して2週間以内に異議がなければ仮執行宣言付支払督促が送付され、さらに2週間異議がなければ、強制執行を行うことができるという手続です。ただし、買主・借主から異議申立てがなされると訴訟に移行します。
支払督促の特徴は、以下のとおりです。
少額訴訟とは、60万円以下の金銭の支払を求める訴えについて、原則として1回の審理で紛争解決を図る手続です。
少額訴訟の特徴は、以下のとおりです。
即決和解(訴え提起前の和解)とは、当事者間に合意があり、裁判所がその合意を相当と認めた場合に和解が成立する手続です。
即決和解(訴え提起前の和解)の特徴は、以下のとおりです。
一見すると、公正証書の作成と同じような手続ですが、公正証書には不動産の引渡しを条項に入れることはできませんが、即決和解の場合には不動産の引渡しの条項を入れることができます。そのため、金銭の支払いを求めるのではなく、不動産の引渡しを求めたいときは、即決和解を選択することになります。
訴訟とは、双方が主張立証を行い、最終的に判決によって解決を図る手続です。一般的に裁判と考えられているのが、この訴訟という手続になります。
訴訟の特徴は、以下のとおりです。
支払督促、少額訴訟、即決和解には、それぞれ利用できない場合やデメリットがあり、訴訟を選択せざるをえない場合があります。訴訟になった場合には、解決までに時間がかかってしまうので、そうならないために、早期に相手と話合いをして、公正証書を作成しておくべきでしょう。
執行とは、相手が持っている財産を強制的に売却などして、そこから売掛金や貸金を回収するという手続です。
執行は、担保権の実行という方法と差押えという方法の2つがあります。
たとえば、相手の所有する不動産に抵当権という担保を設定していた場合には、フェーズ⑦でご紹介した裁判手続を採らなくても、不動産を競売にかけて、その売却益からご自身の売掛金や貸金を回収することができます。
裁判で取得した判決などをもとに、相手の不動産や預金などからご自身の売掛金や貸金を回収することができます。差押えの対象は不動産や預金に限られず、相手が持っている売掛金や給与などからも回収することができます。差押えをすることができる財産を特定しなければならないため、先ほどお話したとおり、事前に相手の財産調査をする必要があります。
差押えによって、売掛金や貸金を回収することができますが、財産調査をして、裁判を複数回する必要があり、時間と手間がかかってしまいますので、そうならないために、契約を結ぶ時点で担保を設定しておくのが良いと思います。
売掛金や貸金の回収を弁護士に依頼した場合に、どのようなことができるのかについてご紹介させて頂きましたが、どうしても時間と費用がかかってしまいます。そのような労力を費やすことがないように、各企業の担当者の方々におかれては、契約書の作成、担保の設定、公正証書の作成など、支払いが滞る前に手を打っておくべきでしょう。
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